MUNDIAL finito

 

一ヶ月におよぶお祭りも終わった。


地上波放送のあったものはほぼ全試合観戦したのはフランス大会以来。「自営」の身であれば、楽しんでばかりもいられないはずだけど、まあ、四年に一度のこと。オリンピックとは比べものにならない。なぜだろう。そういう話は追求しないが。


勝戦  オランダ・スペイン戦


全体に感情が前面に出たゲームであった。オランダの方が激しく、それは警告、カードの数に反映されていた。審判の存在感が少し煩わしく感じられた。退場者を出して、ゲームを潰したくないということだったのだろうか。


注目していたのはオランダのカイト。しかし、目立ったのはやはり右からドリブルで上がっていくロッベン。ここまでオランダにはあまり好意的ではなかったが、今回はややオランダ寄り。カイトは放送ではほとんど名前を呼ばれることはなく、後半の後半に交代。オランダは必ずしも苦戦というわけではなかったが、攻撃はスペインより単調だったか。


お互いに苦戦というのが一番あった表現かもしれない。互いに相手の利点を消していた。どちらのチームも突破口を見出せず、延長に入って、準決勝と同じファンデルファールトの投入が突破口になるかと期待されたが、すでにカイトはいなかった。


スペインの方は、セルヒオ・ラモスが目立ったが、決め手は打てず。ビジャがほとんど目立たず、シャビがその代わりにやや前に出ていた。最後に来て途中出場のヘスス・ナバスがエッジになって、決勝点への流れが出来ていったという感じだろうか。


イニエスタの決勝点。「オフサイド」とTV画面の前で声に出す。最初のトーレスからのクロスの時点でイニエスタオフサイド線審は追いついておらず、その後のパスでゴール。現行ルールはあんなに短い間に同じ人物がつづけてターゲットになることを想定していないのだろう。審判が線審に確認して無効になるかと思ったが、激昂したオランダの選手にカードを出しに行っただけだった。


その直前、オランダのコーナーキックゴールキックになったのも興ざめ。見方を変えれば、オランダの審判対策の失敗というか自滅というか。あの審判には決勝のレフェリーとして戦前から賛否があったらしい。


あんまり後味の悪いものにするのも何だが、別に一般向けの新聞記事じゃないから。新聞記事は辛いね。あんまり悪し様にも書けないし。まあ、大きな物語として「スペイン悲願優勝」でよかったんだろう。ファンペルシーは結局、最後までいいところはなく、フェルナンド・トーレスは最後に出て、怪我。あれはやばいのではないだろうか。プジョルの奮闘とGKカシージャスの活躍は改めて記しておいていいが、どちらが勝ってもおかしくないゲームだったとも言える。


今大会、大物選手が転けまくったのは、チーム作りの中でどのような場所を占めるかという点で、失敗が多かったということなんだろう。中田英寿氏もそういうまとめをしていたよ。「またやりたくなった」なんてことも言っていた。今さらねえ。


「優勝国のサッカーが否が応でも好まれるようになる」とTV解説の人はくり返す。そうでなくてもスペインのようなサッカーを日本人は好むだろう。でも、それに引きずられれば、また時計の針を戻すことになるんだろうと思う。


日本は今大会九位になったのだそうだ。「日本のスタイルを求めて」を今後のテーマとしたがるようだけど、日本のスタイルはもう多分あるのだろうと思う。必要なのは定期的に一定レベル以上のストライカーを見出すことだけ。優秀なセンターフォワードではなく。


おっと、こんな話題でこのひと月を終わりにしたくないね。


最優秀選手はフォルラン。全く異議なし。決勝進出のチームからではないのは、ちょっと納得でしょ? それぞれのゴールに小さな物語を見出したくなるけど、フォルランのシュートはそれだけで爽快なものが多かった。記憶に残ったシュートはスロバキアのビーテック、アルゼンチンのテベスウルグアイスアレス、それに遠藤のFKかな。まあ、VTRでもあれば、あれもこれも、と思うのだろうけど。これがゴールとなれば、さらに増える。


怒濤のドイツの攻撃を四年後に再び見ることができるだろうか。四年後を具体的に期待させるチームがあるというのもなかなか珍しいことではある。


ブラジル、行こうかな。