「故人」献金とマスコミ


「故人」献金疑惑ほど、よくわからない問題はない。マスコミは説明責任を果たせと繰り返すけど、一体何を説明させたいのだろう。ただ「献金疑惑」というこれまで政治家をやっつけるときのキーワードだけが踊っているようにしか思えない。マスコミは分かってやっているのかもしれない。


「なんだかよくわからないでしょ? 問題ですよね? そうでしょ?」


経緯が不明瞭なのはわかる。でも「自分のお金で政治活動をしてます」でしかないではないか。それを誰かからもらったかのように偽装していたとして、それはそれで問題だけど、それ以上ではない。母親が巨額の献金をしていて、それが脱税になっているというのなら、それも問題だけど、それ以上ではない。どこかの企業が金を出しているという話は出ていないし、民主党政権になったほんの数カ月の間に鳩山家に便宜供与があったという話もない。あるのか?



この話に絡めているのかどうか知らないが、小泉さんが調子に乗って「鳩山政権は来夏の参院選までもたない」なんて軽口を叩いたりする。まあ、だからといって、自民党に政権が戻るとは言っていないのだけど。


マスコミは問題を整理しないことで、この話を爆弾であるかのように置いておきたいのだろうか。そりゃ、経緯が不明瞭だから説明がほしいと思うだろうけど、「私腹を肥やしている」という感じが出てこないから、世論はそれほど騒がない。鳩山さんを追求するのは構わないが、マスコミは世間に対する説明責任を果たしてほしいと思います。




話が飛びますが、田中良紹さんという人の書くことを最近、非常に楽しみにしている。


http://www.the-journal.jp/contents/kokkai/


元TBSの記者さんですが、これほど理路整然としたニュースの解説はあまりないように思います。最新号では「普天間基地移設問題」。小渕政権、森政権時代の沖縄をめぐる動きから現在を見ている。やっぱり、土建屋のためなのね。


彼の書くことに毎回納得している。今までなんとなく感じていたことをきちんと説明してもらったような気になるのだ。コメントを付けている人にもそういう人が多い。


もう少し言うと、ちょっと前までは「世間知らずが何をいうか」と頭ごなしに排除されていたことを田中さんは言っているようにも思う。「いろいろあるんだから、細かいことは言わずに俺に任せておけ」というのが積もり積もって出来上がった今の状況に「あのとき○○であったから、その後×××になっていった。当然のことだ」というのが田中さんである。それを読んで「ああ、あのときは馬鹿にされたけど、私が考えていたことは間違っていたわけではなかったのだ」と思う人が多いんじゃないかと思います。


こういう人が夜のニュース番組の解説者になってくれたらいいのに、と思わないでもないですが、そういう場に座ればまた話は違ってくるんだろうね。でもまあ、夜のニュース番組、ますます情緒的でスカスカになっているような気がします。もう少し硬派でもいいんじゃないでしょうか。