いつか見たセレソン

 

すでにアルゼンチンも負けているが、ブラジル・オランダ戦のこと。



日本人の主審で、それはそれで喜ばしいことであったけれど、放送中、解説の人が誉める誉める。ジャッジそのものはよかったのかもしれない。誤審があったわけでもない。しかし、オランダは審判を捲き込んでブラジルにプレッシャーをかけ続けていたように思った。


目立ったのはもちろんスナイデルだが、ロッベンがすべてだったのではないか。カウンターできれいに先制したブラジルをロッベンは激しいマークにあいながら徐々に揺さぶりをかける。へんてこなコーナーキックをしたのもひとつだろう。少しだけ蹴りだして、キッカーの交代を装うような。


その他、ファールのとられ方。ロッベンだけではない。オランダの選手全般に審判にさりげなくアピールしつつブラジル選手を煽っていた。ロッベンがその筆頭。一番やられるわけだし。言ってはなんだが、「審判をちょっと利用してやろう」という意識があったように感じられた。解説の人もちょっと不穏な雰囲気になり始めたゲームを審判がうまく裁いていると言っていたけど、必ずしもそうは見えなかった。


逆転のコーナーキックロッベン。この時点でブラジルは判断力が落ちていた。蹴る前のロッベンが少し思わせ振りな感じを見せた。あれは多分、ある種のサインプレーだっただろう。低いボールをゴールに曲るように打つとか。もちろん、それが100%成功する保証があったわけではないが、ブラジルのディフェンスは明らかにスキを突かれた形になった。


その直後に一発退場。ロッベンを踏みつけにすれば当然だが、倒れてボールを抱え込んだロッベンは審判を背にしていることを了解していただろう。ファールをとられたわけではなかったがボールを抱え込んでのアピール。ここまでロッベンとのやり取りで熱くなっていたブラジル選手がまだプレイオンだから脚を思わず出した。


あれは結果的に踏みつけにしてしまっただけだろう。感情的になって意図的にやったジダンベッカムとはちょっと違うだろうと思う。しかし、まあ、結果がすべて。その後のブラジルの混乱は南米のチームが負けるときの典型。攻撃がうまくいっていないという感情をすべて少し不満に思っていた審判の退場判定にぶつける形で試合は進んでいた。


そういうときに起死回生の一発が出るという幸運がなければ、15分などという時間はすぐに過ぎていく。冷静さを完全に失ったセレソンを嘲笑うロッベンじいさん。


余計なことだが、ジーコが日本代表の監督としてうまくやってくれると信じた日本サッカー協会の人はブラジルのサッカーに幻想を抱いていたのだろうと思った。ジーコは「神様」として代表選手を引退した。代表での挫折は多分ないだろう。「すべてうまくいく」と信じられている間のブラジルは強いんだ。